展覧会

【展覧会感想】「山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」アーティゾン美術館

展覧会入り口

今年観てきたなかでも一押しの展覧会です!
充実の内容で、山口晃さんの新作も多く観ることができました。

展覧会情報

展覧会名:「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」

会期:2023年9月9日(土)~11月19日(日) ※日時指定予約制
休館日:月曜日(9月18日、10月9日は開館)/9月19日/10月10日
開館時間:10:00 ~18:00(11月3日を除く金曜日は20:00まで)
    ※入館は閉館の30分前まで
会場:アーティゾン美術館 6階展示室

以下は展覧会ホームページより引用した企画趣旨です。

日本は近代を接続し損なっている、いわんや近代絵画をや。
写実絵画やアカデミズム絵画に対する反動としての、あるいはその本来性を取り戻すためのものが西欧の〈近代絵画〉であろう。が、写実絵画やアカデミズム絵画の歴史を持たぬ本邦に移入された近代絵画とはなんであろう。

西欧の近代絵画と日本の近代絵画を蔵する石橋財団コレクションを前にして、改めて、山口晃(1969- )はそう述べます。 今回のジャム・セッションでは、「近代」、「日本的コード」、「日本の本来性」とは何かを問い、歴史や美術といった個人を圧する制度のただ中にあっても、それらに先立つ欲動を貫かんとする山口晃をご覧いただきます。

アーティゾン美術館ホームページより

ジャム・セッションとは?
ジャム・セッションは、アーティゾン美術館のコンセプト「創造の体感」を体現する展覧会です。アーティストと学芸員が共同して、石橋財団コレクションの特定の作品からインスパイアされた新作や、コレクションとアーティストの作品のセッションによって生み出される新たな視点による展覧会を構成します。過去から現代、次代へ向けての架け橋となるプロジェクトを目指します。今後も、毎年一回開催する予定です。

アーティゾン美術館ホームページより引用

感想 / 私の今年の展覧会トップ3に入ること間違いなし!

サンサシオンとは「感覚」を表すフランス語だそうです。
これがキーワードになるのかと考えながら、目についたところから観て回りました。

展覧会構成 / 全10セクション

展覧会の構成は以下の通りです。

1:山口晃(汝、経験に依りて過つ)
2:セザンヌへの小経
3:雪舟の翳る部屋
4:山口晃(モスキートルーム)
5:山口晃(アウトライン アナグラム)
6:談話室
7:彼岸小房
8:東京こりごりん
9:ちこちこの庭
10:日本という淀み

セクションタイトルだけでは何が展示されているのか想像しにくいかもしれません。
インスタレーションもどれも楽しく新しいものが観れた喜びでいっぱいになれます。

山口さんが選んだジャム・セッションの対象は、雪舟《四季山水図》セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》です。
一部ご紹介できるものは下に記載しています。

本展覧会はワンフロアのみの展示なのですが、じっくり観るとあっという間に一時間半経っていました。
新しく観る作品が多く、ご本人の解説がひじょうに丁寧につくられていました。

さきに書いたように、それぞれのセクションを自由に動き回ることができたので観た順番は上記のセクション順ではありません。
ぐるぐると何度も観るのが楽しかったです。

感想

じっくり近くで観たくなる作品が多いので、人の邪魔にならないタイミングで撮影できたものを紹介します。

まず、展覧会の一番最初の作品が《汝、経験に依りて過つ》というインスタレーションで始まったことに驚きました。(写真は写りこみのことを考えて撮っていません)

どのインスタレーションも具体的に何を経験してみてほしいと山口さんが考えているのか分かるようになっており、そこも合わせて面白かったです。

山口晃《東京圖1・0・4輪之段》2018-23年

2019年に放映されたNHK大河ドラマ「いだてん 〜東京オリムピック噺〜」のオープニングタイトルバック画です。
近くで知っている街を観たり、上部の水辺のキラキラとした表現や蛍光色の使われ方を観察するのも楽しいです。
このタイプの絵の前では、いつも誰かが目を凝らしていたり、話をしていたりして、人を集める絵なのだなと思います。

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃

山口晃さんが選んだジャム・セッションの対象のひとつ。
セザンヌがとても好きだそう。
私にとっても、いつ観てもいいなと思える絵です。

山口晃《セザンヌへの小経(こみち)》2023年

言葉が合っているといいなと思うのですが、セザンヌの描き方、モノの見方を参考に設計した跡も同時に展示されていて興味深く観ました。
展覧会ホームページでは、”セザンヌ理解に向けた自由研究”と書かれていました。

山口晃《趣都 日本橋編『月刊モーニング・ツー』(講談社)》2018-19年(一部)

連載開始前から公式Xをフォローして、単行本化を楽しみに待っていました。
が、せっかくの機会なので展示分だけは読んでしまいました。
内容も面白いし、山口さんの絵のなかの世界でもあり、現実の風景や歴史でもあり、じっくりゆっくり読みたいものです!

山口晃《大屋圖》2023年

夢で見たイメージを描いたそう。
整然と並んだ部屋、その中の時代がまばらな人々、前景、滝、雷のような何か。
モノクロが映えていて長く鑑賞していました。

ミュージアムショップ

ミュージアムショップでは、大判の図録にあたるものとファイルを購入してきました。

帰宅してから改めて見返しましたが、買ってよかったです。
全セクションのインスタレーションのQRコードがついているのも良いポイントです。
写真に撮れない箇所もあったので。

展覧会のグッズとしては種類は少なめですが、大判図録は迷ったら購入をおすすめしておきたいです!

まとめ

私の大好きな画家である山口晃さんの展覧会。
個々の作品がどれも面白く、きれいで、アイデアがつまっていて。
観る人にたいして親切な造りでした。

ほんとうに様々な人が作品を観るのだ、という前提に立って、ご自身の言葉で(多くは自筆で!)作品を語っていることもありがたかったです。

自分自身の経験や感性に従って作品を観るのもいいですが、私はその背景や使われた技術、作家の思いを知って作品を観るのが好きです。

本人の解説という手助けがありつつ、個々の感覚で自由に観る面白さをも体験させてくれる展覧会でした。

「山口晃展」としても、過去にないほどもっとも素晴らしく充実していました。
載せてない作品がたくさんあります。

ぜひ直接ご覧になっていただきたいです。

私は、もう一度観に行く予定です!





読んでくださってありがとうございました。

終わり!

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